EGG PLANT

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 俺は目を覚ました。確かに目を開いた。それにより夢から現実へと移行したわけなのだが、俺の寝ぼけ眼に映るものは、なにも無かった。  そう。なにも無いんだ。俺が寝ていたハズのベッドも、テレビも机も本棚も、壁も床も天井もなにもかも無くなっている。  唯一目に飛び込んできたものは“白”。白という色のみ。雪景色と見間違うくらいに全てが真っ白だった。  いやなんで? まさか……スマホやパソコンだけじゃあきたらず、俺が寝てる間に全部撤去した? そうだとしてもやりすぎだろ。家具はおろか、壁や床や天井すら無いなんて。  一応床、というか地面はある。真っ白で分かりにくいが、俺がこうして立ってられるのが何よりの証拠だ。  明らかに俺の部屋じゃない。どこなんだ? ここ。一体どこまで続いてるんだ?  歩いて確かめるべく足を踏み出した。が、すぐにつま先が何かにぶつかった。  これは……壁だ。床と同じ、白い壁。境目が見えないから気づかなかった。  手探りで壁に触れてみる。すると壁は緩やかなカーブを描き周りを取り囲んでいるのが判った。どうやら俺は白い壁の中に閉じ込められているようだ。  はぁ…………なんなんだ。この夢。確かに世俗から離れたいとは思ったけども。まあいいや。目が覚めるまでここにいよう。
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