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吐き出す行為にもすっかり慣れ、俺は機械的に様々な種類の木を量産し続けた。その結果、辺り一面に森の絨毯が敷き詰められた。だいたい元いた俺の部屋ぐらいは広くなったか。
どうせなら森以外も作りたいな。山とか川とか。でもどうやって作ろう?
川なら水。水が生まれるのは……。
頭にそれを思い描く。口からたまごを放出。今度は木ではなくモヤモヤとした黒っぽいものが産まれた。
それはフワリと宙に浮くと、ポタポタと水滴を落とし始めた。
やった。まさか雲まで産み出せるとは。まあ夢なんだから何でもアリだよな。この雲が雨を降らせ続ければ地表に水が溜まり湖や川になる。なんだか小学生の頃ハマった開拓クラフトゲームみたいだ。楽しくなってきた。
そうだ。生物だって産み出せるんじゃないか? 本来たまごってそういうもんだし。
初めは鳥でいこう。白いたまごと言えばニワトリだ。ニワトリを産み出してみよう。
白い羽毛に赤いとさか。イメージを膨らませ、腹の底からたまごを込み上げる。
中から出てきたのは、これまたイメージ通りの鳥。
「コケコッコー」
おお、この鳴き声。小さいがまさしくニワトリ。ヒヨコではなくいきなりニワトリが産まれたのにはひっかかるが、とにかくこの世界で俺以外の生命体第一号だ。
調子づいた俺はニワトリに始まり、次々と生命を誕生させていく。牛、豚、羊、馬、鹿、ゾウ、キリン。どれもたまごからは産まれないほ乳類。一応、大人しそうな草食動物だけにしといた。ちなみに全部同じサイズだ。ニワトリとゾウが同じ大きさって。でもこのサイズならいくらでも産み出せるな。
こうして俺の世界は一気に生命溢れる賑やかな世界となった。
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