EGG PLANT

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 ここまで判ったことは、たまごからは自然物しか産み出せないということだ。家具や家電、車や家など人工物はいくらイメージしてもたまごが出てこない。  人工物が欲しいなら人……人間が必要だってことか。  動物が産めたのなら、人間も産めるかもな。この動物たちの管理も俺一人じゃ大変だしな。  どうせミニチュアサイズだし、気に要らなければ踏み潰してしまえばいい。よし、産むか。人間。  俺は俺と同じ姿、つまり人間をイメージした。するとたまごはあっさりと出た。  たまごが孵る。初め、着せ替え人形が体育座りしているように見えたが、やがてそれはゆっくりと自立した。  人間だ。人間の女だ。しかもこの女、俺の好きだった子じゃん。無意識にイメージしたのか。道理で高校の制服を着ているわけだ。  俺の姿に一瞬驚いたような表情を見せたが、女は笑顔を作りひれ伏した。どうやら俺が産みの親だと瞬時に理解したようだ。  なるほど。俺が産んだ人間は俺に従順なんだ。よし、それなら問題ない。どんどん量産してやる。  たまごから産まれた人間の顔はどれも知っていた。親だったり同級生だったり芸能人だったりアイドルだったりユーチーバーだったり。やはり性格までは同じではないらしく、みな争うことなく穏やかに生活を営み始めた。土で食器を作り木材で家を建て家畜を育て文明を開化させていく。そして時折俺の元に来ては作物などを献上した。 「カミサマ! カミサマ!」  みんな膝をつき俺を神と崇めている。はは、俺が神か。悪くはないな。夢であるのがマジで惜しい。ああ、どうかこのまま覚めないでくれ。もう二度とクソな現実には戻りたくない。  俺はこの世界で、神として君臨し続ける……!
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