EGG PLANT

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 ピシッ  と、音がしたので見上げると、空に亀裂が走っていた。何事かと思う間もなく亀裂は一気に周囲へと広がっていく。  360度を包囲した亀裂は弾けるように無数の白い破片となり、バラバラと崩れ落ちた。  破片が落ちきると、景色が一変。目に飛び込んできたのは白とは真逆の黒。暗黒の空間が俺の世界を覆っていた。  ただ完全に真っ暗闇というわけではなく、小さな光が点々としている。これは、夜空? いや、宇宙……? 『ようやく孵化したようじゃな』  声がした。誰?と思う間もなく光の粒が一箇所に集まっていく。  光の集合体は記号の星を形成し、更に人型へと変化した。なんだ、こいつ……。 『ワタシはこの世の全ての創造主。お前に分かりやすく言うと、“神様”である』  かみ……さま?  おいおい、神まで出てくるとは。どんだけスケールのでかい夢だよ。 『夢ではない。お主は選ばれたのだ。“神様代行”にな』  俺の思考を読んだ。さすが神。てか神様代行? なんだそりゃ。 『ワタシの使命は世界を創造することであるが、いかんせんひとつの世界を創るのにも時間を要する。そこで世界から消えることを望んでいたお前を神隠しにし、万物を産み出す力を与え、これまで神様代行としてひとつの世界を創らせたのだ』  ……はは。みんなから神として崇められてはいたが、まさか正真正銘の神になっていたなんて。とんでも設定の夢だなこりゃ。 『判らぬ奴だな。夢ではないと言っておろうに』  いやでもほら、全然痛くないし。と、思いっきり頬をつねりアピールしてみせる。 『痛みを感じないのはお前が神の力を得て“神格化”したからだ。痛みだけではなく空腹も感じんし睡眠も取る必要はない。お前はもう、ただの人間ではなくなったのだ』  確かに結構な時間ここにいる気がするが全然腹が減らないし眠くもならない。ってことはやっぱり夢なんだろ? こんなの夢以外ありえないって。夢に決まってる。夢……なんだよな?
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