男女の友情は成立しますか?

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男女の友情は成立しますか?

 舌を絡めても乳房を揉まれても、特に湧き上がる情欲を感じない。  今日が彼との三回目のセックスだ。  私の陰部に触れた彼が、まだ準備が整ってないことを察し再び胸に顔を寄せてくるが、なにをされてもくすぐったいか、最悪痛い。  私に気が付かれないようにしているつもりだろうけど、彼が内心焦っているのが手に取るようにわかる。もう、何度か同じようなことを経験しているからこそ尚更。 「ちょっと待って」  そう告げて、バッグから潤滑剤入りの小さなボトルを取り出して、彼に渡した。 「ごめん…私、濡れにくい体質みたいで…。これ使って?」 「いやでも……っていうか、これまでは普通に濡れてたよね」 「えっ…?……うん…なんか、今日はちょっと調子が悪いみたいで…」  失敗した、とすぐに察することができるくらいには、場数を踏んできてしまった。  少し伝え方を間違えるだけで、男の人のプライドを傷つけてしまうことがある。付き合いたての男女にとって、セックスの相性はデリケートな問題なのだ。 「あずさ、本当に俺のこと好きなの?なんか上の空っていうか、心ここにあらずっていうか…」  そんなことない、とすぐに言い返せない。 「………もう、別れようか」 ——嫌だ、別れたくない!  そう喚きながら、泣いてすがれるような私ではない。そして、そこまでの想いではないことも、お互い気が付いている。 「…わかった。今まで、ありがとね!」  湿っぽくならないように、ニコリと笑う。  傷付いていないわけではない。  失恋だし、振られた立場だし、私の中の乙女心は可哀想にしくしくと泣いている。  けれど、私には友だちがいる。  彼氏と別れたくらいで、ひとりぼっちになるわけじゃない。 『ふられた!集合!』  今の時代、この小さな液晶画面に指を滑らせただけでメッセージを送れるのだから、便利なものだ。  ピロン、と間の抜けた電子感がして『了解』のスタンプが表示される。  追加でお店情報と地図を添付してから、シャワーを浴びている彼をよそに崩れたメイクを手直しして、ひとりでホテルを後にした。
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