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シャツのボタンをひとつひとつ外していく指先と真剣な表情。今更照れる必要なんてないのに、その都度頬を染めるところも、全てが可愛い。
軽く身を捩りシャツの袖を引き抜きやすい体勢を取る。
上半身を脱がされたところで、あずさの動きが一旦止まった。
そして、躊躇しながらもベルトに手をかけて、下穿きまで脱がそうとしてくる。
本当はそこまでさせるつもりは無かったのに、あまりにも一生懸命に応えてくれるものだから、つい調子に乗ってしまう。
「颯太のここ…苦しそう」
苦しいのは、あずさのことが好きすぎるからだ。すりすりと優しく撫でられるだけで、容易く血が滾る。
下着のゴムに指先を引っ掛けられたので、それに合わせて腰を浮かせた。見られる羞恥よりも、おれのそれを見たときのあずさの反応の方が気になる。
狭い下着から弾けるように飛び出したそれは、完全に天井を向いていた。
少し驚いたような、それでいて瞳の奥には好奇の色もあり、どこか恍惚とした表情にも見える様子で、恐る恐るおれの屹立にそっとふれるあずさ。
「お願い、あんまりこっち見ないで。できれば目つぶってて」
そんなのは、無理な話だ。
ちらりと上目遣いで恥ずかしそうにこちらを一瞥し、ゆるく握って、ゆっくりと手を上下に動かしだす。ぎこちないけれど懸命な愛撫に、心まで溶かされそうだ。
おもむろに伸ばされた舌先がちろちろと鈴口をくすぐり、濡れた唇がぱくりと先端を咥えた。そのまま少しずつ沈んでいく、それ。
ずっと好きだった人の、口の中に……。
「……っ!もういい、しなくていいから!」
急激に込み上げてくる感情に身体が持っていかれそうになり、思わず腰を逃がした。
「ごめん、下手だった?あの、慣れてなくて……」
「違う、その逆で……」
「逆……?」
困ったように眉尻を下げるその鈍感さが憎らしくて愛おしい。
「好きすぎておかしくなりそうってこと」
あずさを押し倒して、胸元に唇を落とした。
柔らかな膨らみを包むレースの布地が邪魔で、ホックを外して取り払う。
胸の先端の赤い実を、指の腹で優しく撫でたり爪でカリカリと引っ掻くと、途端に洩れる熱い吐息と甘い声。
「んっ、あぁっ…、さわり方、やらしい」
「いやらしいことしてるんだから当たり前でしょ」
そして、こんないやらしさなんてまだ序の口だ。もっと乱れたあずさが見たい。
ツンと硬くなった粒を口に含み、舌でころころと転がす。反対側はくりくりと指で捏ねたり、手のひらで揉みしだいたいて絶えず刺激を与え続ける。彼女の頭の中全部が、おれで埋め尽くされるように。
自分にはないこの柔らかさに、時間を忘れて夢中になってしまう。
乳房を揉みしだきつつ、肩、鎖骨、わき腹、へそ、白い柔肌の上で唇を滑らせていく。こらえきれず、ところどころに赤い花びらを散らしながら。
どれだけくちづけても足りなくて、熟した果実のように主張する胸の頂を、食べるように口腔に含んだ。
「も、ずっとそこばっかり、だ、め……ぁっん!」
びくびくと身体を小さく震わせながら肩で息をするあずさが、華奢な腕で胸を隠す。
全てを曝け出してほしくて、手首を掴んでシーツに縫い付け覆い被さり、潤んだ瞳を覗き込む。
「本当に駄目だった?さわられるの、嫌?」
あずさがおれの視線から逃れるように、顔を背ける。頬にかかった髪の毛で表情が見られない。
そっと手櫛で髪を梳き、綺麗な半月のような耳にかける。
「……いや、だった」
ポツリと呟いて、横目で再び視線を絡めてくる。
「胸ばっかり、いや。…他のところも、さわってほしい」
まるであずさが、真っ赤に実った林檎のようで。色だけでなく、おれに甘酸っぱさをくれるのも、世界にただひとりこの人しかいない。あまりの可愛さに、自我を忘れて貪り食ってしまいそうになる。
唾を飲む音が、思いのほか頭の中で大きく響いた。
「どこを触って欲しいの?」
我ながら浅ましい質問だと思う。渇望の表れのように、声がうわずる。
「下……の、きもちよくなるところ、さわってほしい」
恥じらいつつ、擦り付けていた内腿の力を緩めていくあずさ。
「……っ!」
心臓をぶっ壊されるのではないかというほどの衝撃に、息が詰まる。
これ以上おれの心を奪って、どうしようというのか。
魅惑的な誘いに抗えるはずもなく、ゆっくりとショーツの上から中心に向かって指を伸ばす。若干の躊躇を孕みながら。
焦らそうとして胸ばかり可愛がっていたわけではない。
怖かったのだ。
もしまた、濡れていなかったとしたら……。
——体質だったら仕方がない
以前そう嘯いたのは自分のはずなのに、感情を割り切る自信がない。
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