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しかし翌朝を迎えても、キラは帰ってこないままだった。 行方不明を出そうか? 何度かそう考えた。 だけど冷静に考えてみれば、キラはガチャガチャから出たたまごから生まれた存在だ。戸籍があるのかどうかわからない。 それに、もしキラが自ら出て行ったのなら、届け出ても意味がない。 僕とキラの関係性だって、家族でも何でもない他人だ。どの立場で、届を出せと言うのだろう? 周りの人たちに相談しようかとも思った。 だけど、僕は周りの誰にもキラのことを話していない。 1から説明するにしても、アイドルのたまごをお湯に入れたらキラが現れたなんて突飛な話を信じてくれる人はいるだろうか? そんなことを考え頭を抱えていると、ベッド下に転がるガチャガチャのカプセルが目に留まった。 手を伸ばし、カプセルを拾い上げる。 中に入っている説明書に何気なく目を通す。 もう何度も読み返したから、目新しいことが書かれているなどとは期待していなかった。 それでも、救いを求めるみたいに何度も見返した。 食い入るように何度も見ていると、とても小さな文字で端に何か書かれているのに気づいた。 『彼女たちはアイドルなので、恋心を自覚すると3日で消えてしまいます』 米粒ほどの小さな文字だった。 消えてしまう、という文字にドキッとした。 キラがいないのは、消えてしまったからなのではないかと思ったからだ。 再び紙に目を通し、消える理由は恋心だと理解すると、消えた訳ではないだろうと思い直せた。 だが、消えたのではないのなら、彼女はどこへ行ってしまったのだろうか?
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