どうかあなたにこの言葉が届きますように①/NEU

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どうかあなたにこの言葉が届きますように①/NEU

失恋したその日の夜、私は泣いた ご飯も一切口にせず、睡眠時間をとりもせず、 夜通し泣いた 彼の相手に嫉妬し、その子の不幸を願ってしまった こんな私はきっと、弱すぎるんだろう 次の日、学校へ行くと彼とその子は仲良さそうに話していた 教室の入口付近の彼の席で 「あ、(りん)ちゃん。おはよう」 彼は呑気に挨拶をしてきた そうだろう 私が勝手に好きになって、 彼に好意を伝える間もないまま 勝手に失恋したのだから 「おはよう、鞘都(さやと)」 私は何事もなかったかのように、 昨日のように 誤魔化すような笑顔で挨拶をした 「……ん……。り……………。り……じょう………。凌!」 幼馴染みの界人(かいと)に呼び掛けられて前を向く 「どーしたの、界人」 「お前、泣いてんぞ?」 「…………………えっ? そんなわけ………」 信じられなくて、自分の頬に触れる 濡れた感触が指を伝う 「………なにがあった?」 周りに見えないように私の前に立つと 界人は優しくそう聞いた 「あのね、私、失恋しちゃったの」 「…………失恋、ねぇ  凌のこと泣かせたの誰だよ  お前は笑顔が一番かわいい  ま、常にかわいいけどな」 「はぇ?」 界人はクスリと笑った 「ほら、笑え  俺がいつでも笑わせてやる  いつでも俺を呼べ」 いつもの界人 だけど、少し違う 「でも、こんなに弱い私のせいで界人に迷惑かけたくない」 そう言うと、彼は私を優しく抱き寄せた まるで大切なものを扱うように 「大丈夫、凌は弱くなんてないよ」 「でも…………」 「いい? 凌  強いってことは泣かないことはじゃない  泣いてもまた、笑えること  凌はさっき笑った  失恋した本人と彼女の前でね、ごく自然な笑顔を見せた  それは、凌の優しさであり強さなんだよ」 界人の言葉は私の心の奥深くにするりと入り込んで 簡単に私を包み込んだ 「泣きたいなら泣いてもいい  俺も一緒に泣いてあげる」 界人が泣いているところなんて想像もつかない 「人は強くなければ生きていけない  でも、やさしくなければ生きている価値がない  ………って、アシュレイ・ブリリアントの言葉知ってる?  凌は優しさと強さのふたつを持ってるんだ  つまり、最強ってこと!  自信を持て、お前は魅力的だ」 それを聞いたら、自然と笑顔になっていた 「うん! ありがとう、界人!」 そう言うと界人は照れ臭そうに笑った(のち)、 「どうしたしまして  凌が元気になったなら良かった」 と言った ‡ ‡ ‡ どうかあなたにこの言葉が届きますように これを読んでくださっているあなたに、 世界中の人達に届きますように あなたは弱い人間じゃない 泣いた後、笑えるならあなたはきっと 強く、優しくいられる 『強いってことは泣かないことはじゃない  泣いてもまた、笑えること』 元女子サッカー日本代表選手/(さわ) 穂希(ほまれ) 『人は強くなければ生きていけない  でも、やさしくなければ生きている価値がない』 西洋の賢人?/アシュレイ・ブリリアント
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