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すべはじ 超番外編/明鏡止水
「ベロニカ嬢、最近兄上どうですか?」
「え? いきなりどうしましたか、アインツ様?」
「いや、風の噂で『皇太子が婚約者に冷たい』って聞いたので」
心なしか、アインツ様の声が冷たい。
「うるさいくらいに甘いですよ。毎日のように夜部屋に来ますし、膝枕膝枕うるさいですし、時々殴りたくなるくらいに元気でやかましいですよ」
「そう、それはそれでちょっとどうかと思うけど、冷たいよりはいいか」
「いや、一旦距離を置いてほしいくらいにウザいです」
「じゃあ監禁しちゃえ」
「え、して良いんですか?」
「待って、ベロニカ嬢本気っ!?」
「え、逆にアインツ様は本気じゃないんですか?」
「冗談だけど………」
声が若干怯えてる。
「嘘ですよ。また兄弟ゲンカしたのかと思いました」
「『また』ってなに。喧嘩しないし」
「時々してるじゃないですか、執務室で」
「それはベロニカ嬢のせいなんですけどっ!」
「えーなに。俺の話?」
と、いきなりヴィーが乱入してきた。
「誰もヴィーの話なんてしてない。だからどっか行って」
「嘘つき。てか、俺はアインツと喧嘩なんてしねーから」
「しっかり聞いてるじゃん」
「ま、いーや。手紙渡しに来ただけだから邪魔物は下がりますよ。じゃ、また後で」
場を荒らすだけ荒らして消えていったヴィー。
「『また後で』って………ベロニカ嬢、兄上となにか約束してるんですか?」
「してないですけど………」
ふたりで顔を見合わせて手紙を開く。
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ベロニカへ
俺的にはどーでもいーけどひとりで読ん
だ方が身のため
アインツとだけは絶対一緒に読むな
一昨日の夜はすごい情熱的で個人的にはす
げー楽しかった
お前もさいっこうに可愛かった
今日も行くから、すっぽかしたらおしおき
な
愛してる
これからもよろしく
ヴァイス
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手紙を読んだ私は顔を真っ赤にしてアインツから目を逸らす。
そんな微笑ましい義姉を見て、アインツは優しい笑みを向けた。
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