僕を惑わす妖艶な君へ/NEU

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僕を惑わす妖艶な君へ/NEU

僕は彼女が嫌いだ いつも無駄にキラキラしていて 儚くも妖艶に僕たちのことを誘うんだ そんな彼女がある日怪我をした 膝から流れる彼女の血は とても濃厚で甘い香りがした これが、彼女が僕たちを誘い 惑わす原因なのだと確信した その日から、僕は彼女のことが好きになった 彼女に誘われて彼女の家に来た 家の周りにはオレンジ色の彼岸花が まるで僕たちを照らす太陽のように 自慢気に咲き誇っていた 彼女とはまた違う妖艶さを纏う きれいなきれいな花だった 花からは彼女と同じ香りがした ある日、彼女が大きな声で怒鳴った 上品に妖艶に僕たちのことを誘う 彼女らしからぬ言動に僕たちは戸惑った 滅多に怒らない彼女が怒った原因は デリカシーのない男子が彼女が愛する オレンジ色の美しい彼岸花を 貶し、家に入り込んで踏み荒らしたからだ そいつはきっと彼女のことが 好きだったのだろう だが、彼女への理解が浅すぎる 僕は泣きじゃくる彼女に近付き 頭を撫でて、まるで子供にするかのように 彼女をあやした そんな彼女を愛おしく思い 僕はそんな彼女を抱き締めて その真っ白な首筋に噛み付いた 彼女は満足そうに顔を赤らめて そのまま糸が切れたかのように倒れ込んだ 眠る彼女に10本の彼岸花を添えて 僕は今日も愛を囁く 僕を惑わす妖艶な君へ 堪らなく美しい君へ 今日も君は極上だ 君の身も心もすべて僕のものだよ
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