第5話 結晶❄粉雪舞うおじさん

1/1
前へ
/15ページ
次へ

第5話 結晶❄粉雪舞うおじさん

春尽。 桜の美しさも、はじまりの初々しさも、季節とともに思い出へと移り変わろうとしています。 おや?おじさんの肩の上にはまだ桜の花びらが...。 よく見ると花びらではありませんね。 白い別の何かが......これ以上の表現は筆舌に尽くし難く、控えさせていただきます。 粉雪とでもたとえる事にいたしましょう。 新緑が眩しいこの季節に、雪の結晶を輝かせるとはいとをかし。 貴方の後ろは畏れ多くてとても歩けません。 僕は粉雪よりも木漏れ日を浴びて歩けるだけで十分です。 そんな愛され下手なおじさんへ。 きっと、おじさんは厳しい冬を生き抜く草花のように耐え、努力を積み重ねていらっしゃるのですよね? 僕はそう信じています。 肩の上にしんしんと降り積もる粉雪ではなく、光照らされ美しく舞う粉雪のように、努力の結晶を輝かせる日を祈念申し上げます。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加