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第5話 結晶❄粉雪舞うおじさん
春尽。
桜の美しさも、はじまりの初々しさも、季節とともに思い出へと移り変わろうとしています。
おや?おじさんの肩の上にはまだ桜の花びらが...。
よく見ると花びらではありませんね。
白い別の何かが......これ以上の表現は筆舌に尽くし難く、控えさせていただきます。
粉雪とでもたとえる事にいたしましょう。
新緑が眩しいこの季節に、雪の結晶を輝かせるとはいとをかし。
貴方の後ろは畏れ多くてとても歩けません。
僕は粉雪よりも木漏れ日を浴びて歩けるだけで十分です。
そんな愛され下手なおじさんへ。
きっと、おじさんは厳しい冬を生き抜く草花のように耐え、努力を積み重ねていらっしゃるのですよね?
僕はそう信じています。
肩の上にしんしんと降り積もる粉雪ではなく、光照らされ美しく舞う粉雪のように、努力の結晶を輝かせる日を祈念申し上げます。
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