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三つ子の魂百までも 番外編 (2) 1
その日は、雨だった。雨は心を憂鬱にさせる。
雑居ビルの5階にある、「探偵事務所 リサーチ飯島」に訪れるお客は最近増えてきたとは言え、まだまだ少なく閑散としていた。
「今日も暇だな〜。お客さん来ないし。お姉さん、どうしよう?このままで良いのかな?」
と、いつも陽気な裕美にしては、弱気な言葉を呟いた。
姉の直美は、何も言わずに窓を打つ雨を観ている。
季節は、2月の末。暦の上では春なのに、春はまだまだ遠く感じる。
「尾上君。『辞めたい』って言っていたよ。仕方ないよね。
給料も払えないんじゃ。」
裕美の言葉を無視するかの様に、直美はまだ窓を見ていたが、
突然、直美は振り返って意を決するかの様に言ってきた。
「裕美、私キャバクラで働くよ。この前スカウトされたの!」
思いがけない言葉に裕美は驚いた。
「キャバクラで働くって、探偵事務所を閉鎖するの?
探偵辞めるの?」
「違うよ、裕美。探偵事務所を続ける為にキャバクラで、働くのよ。私の稼ぎでこの事務所を維持するの!
私、スカウトされた時に言われたの『貴女、女優の壇蜜に似ているから、きっと売れっ子になるよ』ってね。
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