95人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
この卵『自分が卵である』という自覚はあるのか!? それなのになぜ当たり前のように人間社会に溶け込んでいるんだ!?
動揺が隠せない僕に、卵はやれやれと首を振りながら言い放った。
「『弱い』という言葉は不適切だね。『相応しくない』と言ってくれたまえ。英国紳士というものはね、いついかなる時でもゆとりを忘れてはいけない。あんな箱詰めの電車に押し込まれるようなことは、全くもって紳士らしからぬ行為なのだよ」
なん……だと? 卵としての自覚があるんじゃなくて、卵のくせに紳士道を追求しているだと!?
『なぜ卵が英国紳士を語っているのか』僕は紳士道の前にそこが知りたい!
「あなたは、英国紳士なのですか?」
僕の質問に卵は大きく頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!