第一話

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 相手ピッチャーはコントロールがまとまっている。  5番大塚君が右打席へ。  構えは一見して経験者と分かるバットを立てたフォーム。  1球目、内に変化するボール。ツーシームだろうか。  上手く弾き返す。  ショートの深い所に転がり、どこにも投げられず満塁になる。  ここで私に打順が回る。 「楽しみなさいよ〜」  にこっと黒野さんが腕を振っていた。 (ドキドキする)  試合は本当に久しぶりだった。  手のひらに変な汗をかいているとバッティンググローブ越しに感じる。  ナギサが、「打っちゃえ打っちゃえ〜」と叫んでいるのが遠くで聞こえる。
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