第一話

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 バッターは2番。  1球目にカーブを投げた。  低目にしっかりと決まるこのボールにバットが出てきた。  かすめた当たりがピッチャー前に転がる。  私は落ち着いて捕球し、二塁へ送球。  カバーに入った片岡君ががっちりと捕球。  流れるように一塁へ。  間一髪のタイミングでダブルプレーが完成した。  ナインから喜々とした声援が送られる。 (勇気もらうなぁ)  マウンド上は孤独ではなかった。  3番バッターには、ストレート2球で追い込むと、3球目の真ん中高目のストレートを振らせた。  ピッチャー上空に高々と舞い上がる。  私は内野を制して、捕球体勢に入った。  自分の気持ちを鎮めるように、そっとグローブにボールが収まった。 「ゲームセット!!」  グラウンドに心地良い声が響いたーー。
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