8475人が本棚に入れています
本棚に追加
/457ページ
「え、えーっと……、それは……」
もはや逃げ場もなく目が泳ぐ、私──。
「うん? ブライダル……?」
一方の彼は、それが何なのか気づいたようだった。
「ああいえ、その……」
これじゃあ、絶対に急かしてるみたいじゃない……。もう〜お父さんのせいでー……。
頭のてっぺんから湯気でも出そうになり、赤くのぼせ上がった顔をうつむかせていると、
「ブライダルフェアか、行ってみようか」
私の気がかりなど微塵も気にはしていない風で、彼がそう口を開いた。
「えっ、今行ってみようかって……?」
あ然として聞き返した私に、
「ああ、そう言ったが」
と、彼がこともなげに頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!