籠の鳥

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籠の鳥

 空の彼方を飛んでいく  黒い貴方が羨ましい  私は永久(とわ)に檻の中  外の世界は生きられない  独りぼっちの狭い籠  私の命はご主人様のご機嫌次第  一緒に育った筈なのに  私と貴方は白と黒  まるで違う鳥のよう  物珍しさに囚われた  私なんて放っておいて  なのに、貴方は逃げもせず  私の側を離れない  私の側の貴方の事を  ご主人さまは  いつまで生かしてくれるのかしら  貴方が悪戯に殺されるなら  私は一矢報いて後を追うわ  それが貴方を縛る私に出来る  精一杯の罪滅ぼし  どうか隙を見つけて逃げ出して  私が死んでしまう、その前に  自由になれる貴方は生きて  それが私の切なる願い
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