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「貢……、もう降参したら?」
「…………はい、そうですね……。もうやめます……」
彼は負け続けたのが相当悔しかったのか、もう泣きそうになっていた。
「オセロで一回も勝てなかったくらいで、そんなに落ち込まなくても……」
彼はこういうところが、まだ大人になりきれていない。子供っぽいというか。
時々、自分がこの人の母親になったような気がするのはそのせいかもしれない。ちょっと面倒くさいけど、放っておけないくらい愛おしくて。
「あー、楽しかった! ――さて。そろそろもう一回お風呂に入って、お布団敷いてもらおっか」
「…………ああ、ハイ」
わたしの示唆するところを察して、彼の顔が火を噴いたみたいに赤くなった。
* * * *
――わたしたちはその後、湯上りの火照った体で愛を確かめ合った。
濃密なキスの後、彼がわたしの浴衣の帯に手をかけた。シュルッと帯を解かれ、はだけた浴衣の中には何も着けていない。二度目の入浴の後、全裸の上から直接浴衣を着たのだ。こうなると思っていたから。
「……絢乃さん、素肌に浴衣はエロすぎますよ」
「あんまりジロジロ見ないでよ。……あぁ……っ♡」
彼はわたしの脚を開かせ、すでに濡れそぼっていた秘部に手を伸ばした。わたしが胸よりも、こちらへの攻撃に弱いことを知っているからだ。
指先で敏感な雌芯を弄り、蜜をたたえる壺の奥へ二本の指を挿入してズプズプとかき回した。
「あぁ……っ、ぁ……ん♡ あぁ……」
そして、彼はソコへ顔を近づけ、舌で蜜を舐め始めた。その合間に、先端を舌先で転がすことも忘れない。
「……は……ぁん♡ ぁあ……ん♡ あぁ……っ」
わたしは彼にここを舐められるのがたまらなく好きだ。自分で慰めていた頃、これだけはどう頑張ってもできなかったから。
初めて彼がしてくれた時、あまりの快感にやられてしまったのだ。
「…………あぁー……っ! はぁ……、ぁあっ♡」
一度達した後のうねった蜜壺に、熱く滾った彼の分身が挿入される。もちろん、今日も生身だ。
そのまま腰が動かされ、わたしの方からも合わせて腰を振ってみた。
「貢……、こっちの方が気持ちいいでしょ……? ぁあ……っ♡ はぁ……っ」
この行為は、わたしだけじゃなくて彼も一緒に気持ちよくならなきゃ意味がない。二人ともいつの間にか裸になっていて、脱ぎ散らかされた浴衣の上でお互いの肌を求め合った。
「あ……っ、貢……。そろそろイける……っ? わたしはもう……イくよ……っ!」
「僕も……そろそろ……、う……っ!」
「あぁー…………っ!」
こうしてわたしの目の前が再び白くスパークして、蜜壺の中に彼の精が放出されるのを感じた。
* * * *
「……あ、雨降ってきましたね」
窓の外からは、梅雨らしい雨音が聞こえてくる。
「ホントだ。明日はやっぱり、雨の中をパワースポット巡りになりそうね」
わたしは貢の胸に寄りかかりながら、小さくため息をついた。
そして確信している。この旅行中に、わたしは間違いなく身ごもるだろうと。
「――ねえ、貢は子供、どっちがほしい? 男の子か女の子か」
「…………はい?」
彼は一瞬考えた後、笑顔で答えた。
「う~ん……、元気に生まれてきてくれたら、どちらでも嬉しいです。――絢乃さんは?」
「わたしもどっちが生まれてくれても嬉しいけど、やっぱり男の子かな。貴方にそっくりなね」
「どうしてですか?」
わたしは何となく、男の子がほしいなと思っていた。もちろん、女の子が生まれたからといって邪険に扱うようなこともしないけれど。
「二代続けて跡取り娘だったから、そろそろ跡取り息子ができてもいい頃かなーと思って。後を継ぐかどうかは本人の意思に委ねるけど」
きっと男の子が生まれてきたら、その子は父の生まれ変わりかもしれないな、とわたしにはそんな気がしていた。
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