お祝い

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 いくつあっても困らないもの、と考えて、いいボールペンにした。仕事で必ず使うだろうし、センスがなくても失敗しないだろうと思ったのだ。私は恐々彼の顔を見る。  じっとペンを眺めていた玲は、次の瞬間表情を緩ませた。目を細め、はにかんで笑う。その笑い方が普段とはまるで違って、子供のようで、私はついドキリとした。 「そっか……俺の誕生日か……ありがとう。凄く嬉しい」  そんなストレートなお礼の言葉が飛び出して、予想外の事に固まってしまった。そんな素直に喜ぶとは思っていなかった。いつも口が悪くてデリカシーもない男が、こんな顔をするなんて。  ドキドキしてしまった心臓を誤魔化すように、私は慌てて言った。 「じゃ、じゃあ食べよう! たくさん作ったから、頑張ってね!」  私の子供向け料理も何か言われるかと思っていたが、ちらりと見れば、玲は顔を綻ばせてハンバーグに手を伸ばしていた。これまた予想外だ、少しくらい憎まれ口をたたかれるかと思っていたのに。『栄養バランス考えろ』とか、『子供かよ』とか。  私が圭吾さんをちらりと見ると、彼は『言ったでしょ?』と言わんばかりに私を見た。  喜んで次から次へと食べる玲を見て、なんだか胸のあたりが温かくなる。私はにやける顔を隠すように、オムライスを頬ばった。
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