お祝い

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「でも私と同じ価値観を持ってるんだ、って安心した。こう言ったら玲は怒るかもしれないけど、玲と私ってちょっと似てるとこあると思うんだよね。お互い親に苦労してるってとこがさ」  少し笑ってみる。まあこっちは金も無かったからその分苦労もあったけど、玲は玲で違う苦労があったに違いない。親に振り回され、もがいていたのは同じだと思う。  玲はこちらを見ないまま、ぽつんと言った。 「知ってるか。小学生の頃、授業参観で、親が来なかったのは俺とお前だけなんだ」 「え?」  隣を見ると、彼は懐かしむように目を細めた。 「親が来なかったことが凄く恥ずかしくて、周りの同情の目も辛くて、そんな時隣のクラスの女子の家も来なかったって噂で聞いた。俺は落ち込んでる者同士仲良くしてやろうと思って、舞香を見に行った。そしたら、お前は全く落ち込んでなかったし、ゲラゲラ笑ってたんだよ」 「まあ、授業参観なんて来てもらったこと一度もなかったしなあ……」
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