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その日、私は普段通り家で過ごしていた。畑山さんと勉強し、その後彼女が帰宅する。一人で本を読みながら学んでいる時、自分のスマホが鳴り響いた。見てみると玲からの着信で、珍しいこともあるもんだと思いつつ出てみる。
「もしもし?」
『今何してる?』
「別に、家でいつも通り勉強してますが」
『母親が、少しだけお前に会いたいって言うんだ。短時間で終わるって言うから、悪いけど来てくれないか。会社でいいらしい。俺ももちろん同席する』
「へえ……なんだろう」
やっと来たか、と思った。いつ動き出すか分からないとびくびくしていた。玲の会社で少しだけ会うだなんて、一体何を考えているんだろう。油断はならない。
「分かった、すぐに行く」
『急がなくていい。ちゃんと身だしなみは気を付けろ』
「さすがに分かってるよ」
『受付には言っておくから、名前を言え。タクシーを使えばいい。気を付けてこい』
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