新たな問題

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 玲はそれだけ言うと電話を切った。私は立ち上がり、まずはすっぴんの顔を何とかせねばと、慌てて寝室へ行く。平日は相変わらず適当な恰好なのだ。着替えなども終え、早速マンションから出た。言われた通りタクシーを捕まえて乗り込んだ。貧乏生活の頃は、タクシーなんて贅沢品だと思って使えなかったのになあ。  少し走らせると、玲の会社はすぐに見えた。実は会社に来るのは初めてのことなので、緊張してしまう。二階堂という会社は本当に大きく、別世界のように思えた。たくさんの人が行き交うこの会社を、玲がいつかは継ぐんだと思うと、今更ながら彼の凄さを思い知る。  言われた通り受付で名前を言うと、少しして圭吾さんがやってくる。見慣れた顔にほっとし、表情が緩んだ。 「舞香さん、お待たせしました!」 「いえ、圭吾さんお疲れ様です」 「こちらへどうぞ」
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