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マミーは相変わらず厳しい表情で私を見ていた。あの視線、浴びるの一か月ぶりだなあ。闘争心が燃えるってもんだ。
私は玲の隣りに移動し腰かける。マミーがふうとため息をついて言った。
「本当に待ちましたが、まあアポイントも取らず来てしまったのはこちらなので、仕方ないですね」
お、どうした? 常識人みたいな発言をしているぞ?
私は笑顔で問いかける。
「今日はどうなさったんですか? 楓さんもご一緒だなんて」
ちらりと見ると、楓さんは敵意を隠そうともせず、冷たい目で私を見ていた。そんな横で、マミーが鞄から何かを取り出す。白い紙のようだった。それを机の上に置き、私の方に滑らせる。
「二階堂の嫁ならば、それに参加しないといけませんからね」
「これは……?」
招待状のようだった。誰かの結婚式かもしれない。私は手に取り、それを開いてみる。だがそれは結婚式の招待状ではなかった。『伊集院薫 誕生会』という文字が見えた。
まさかの誕生日会。どっかの小さなご令嬢の生誕祭だろうか? 私はちらりと隣の玲を見る。
彼はわずかに眉をひそめていた。玲はもちろん誰の事か分かるらしい。
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