5769人が本棚に入れています
本棚に追加
この流れなら、恐らく楓さんも呼ばれているんだろう。玲は来れないその場で、私にどうにかして恥をかかせるつもりではないか。玲も、圭吾さんもいない場では、フォローしてくれる人がいないからだ。
玲は苦い顔をする。
「伊集院さんは作法などに大変厳しい方と伺っています」
「よく知っているわね、玲。でも二階堂の妻である舞香さんなら、大丈夫でしょう。あなたが選んだ結婚相手ですよ? まさか不参加なんて言いませんよね。伊集院さまはがっかりされますよ」
鋭い目で玲と私を見る。参加しない、という選択を排除しにかかってきているようだ。
さすが、マミーだ。これは中々厳しい状況に追い込まれたぞ。私一人で、この性悪女たちに囲まれ、作法に厳しいと有名な奥様のところへ遊びに行けとは。罠がありそうだなあ……でも断るのもなあ……。
玲が困ったように視線を泳がせた。そんな彼に有無言わさず、マミーが立ち上がる。
「招待状は確かに渡しました。当日お会いできるのを楽しみにしています」
「母さん!」
「では、楓さん行きましょうか」
最初のコメントを投稿しよう!