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年は多分十個くらいは上だろうか。小学生ぐらいの娘さんがいるので当然とも言える。だが可愛らしくて、変な若作りはしていない、上品な人だった。おっとりした性格が伝わってくる。
私たちはドリンクとケーキを頼むと、改めて挨拶をした。
「吉岡倫子です。直接お礼が言いたいなと思っていたので、今日は楽しみにしてたんです」
「二階堂舞香です。そんな、お気になさらず……! 急に誘ってすみませんでした」
「いえ、昼間は娘も学校に行っていますから」
穏やかな口ぶりにうっとりする。ああ、これこれ、私が想像するいいとこの娘さんってまさにこんなイメージなんだよ。楓さんとはまるで違う。お手本にしたいと心から思った。
倫子さんは私の方をしっかり見て言う。
「あの時、娘を助けてくださったことで、ドレスも汚してしまいましたし……そのことで一部の人から変な目で見られていたでしょう」
「い、いえそんな」
「本当に申し訳なくて。でも、ほとんどの人は、あの時の舞香さんの立ち振る舞いに感動していますよ。あの後何人もの人にそう言われたんです」
目を細めて言ってくれる。恥ずかしくなって少し俯いてしまう。
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