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玲は私の手元を覗きこむ。そこには、確かに花がたくさん飾ってある庭で、女性たちが楽しそうに笑っている写真があった。マミーや楓さんが映っている場面もある。
「背後に用意された食事が映ってるでしょ? 倫子さんが言ってたみたいに、甘いものは何も用意されてないんだよね。甘いものが苦手って言うのは間違いないみたい。ほら、こっちは伊集院の奥さんが生け花してるシーン。花好きっていうのも、これまた確かな情報」
写真の中では、五十代半ばくらいの女性が生け花をしていた。真っ黒な髪を一つにまとめ上げ、凛とした佇まいの女性、これが伊集院薫さんだ。金持ちオーラが凄い。
玲は大きく息を吐いた。
「これ、何も知らずに行ってたら終わりだったな……」
「ほんとよ。苦手な食べ物を手土産に持ち、花の知識も何もない人間が、気に入られるわけないからね」
「あの二人はそうなることを願ってたみたいだけどな」
玲は腕を組んで頭を掻いた。
「とはいえ、花か。俺もさすがに生け花はそんなに詳しくないな。一応勉強はさせられたけど、基本的なことぐらいで」
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