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玲がそう言った。私は顔を上げて驚く。
「畑山さんって生け花もわかるの?」
「華道と茶道なら、詳しくはないが基本的なことは知ってる」
今更だが、畑山さんって何者なのだ? 頭いいし作法も詳しいし、色々凄すぎる。
だが玲は考え込む。
「とはいえ、さすがにそこまで詳しくはないみたいなんだな。こうなったらもっと詳しい講師を新たに見つけるか。その方がいいかもしれねえな、誰か信頼できる人間を探す必要があるな。変な奴に学んで、それが母親の回しもんだったりしたら大変だし」
「そ、そんなことってあるかな? 心配し過ぎじゃ」
「今回だって楓に嘘つかれてたんだろ。多分母親も知ってたはずだ。油断はならない」
確かに用心するに越したことはないか、と思う。私は再度写真を覗きこみ、じっと考え込んだ。
甘いものが苦手で、花が好きな奥さん。贈り物も花に関わる事がよし、か……。玲はふうと息を吐いて言った。
「まあ、まだ一か月以上ある。講師と、それから贈り物に何がいいかは徹底的に吟味しよう。畑山さんのレッスンは続けつつも、誕生日会までは回数を減らして華道に回そう。圭吾にも言って探させる」
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