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でも行くしかないのだし、どうせ戦いに臨むなら思いきり戦いたい。無難な戦など、私らしくないと思うのだ。
「まあ、大丈夫だよ、って胸を張って言えないけどね。失敗する可能性も大いにある」
「お前は攻めるタイプだからな。リスクが伴うのは仕方ない」
「失敗したら、慰めてくれる?」
私が笑って言うと、彼は片方の眉を下げて顔を緩めた。
「任せろ、得意分野だ」
「嘘つけ、苦手でしょう」
「何がだ、滅茶苦茶優しく励ましてやるから」
「玲らしくない、逆にキモい」
「お前さあ……」
私は笑いながら忘れ物がないか最終チェックを行う。そして鏡の前で格好も確認すると、時計を見て頷いた。
「よし、行こう玲!」
私達二人が寝室から出る。ほぼ同時に、リビングから圭吾さんが顔をひょこッと出した。彼もやや緊張の面持ちである。
「舞香さん、大丈夫ですか……! 忘れ物はありませんね?」
「はい、オッケーです。圭吾さん運転よろしくお願いします!」
「ああ、舞香さんは堂々としてるのに、なぜか僕の心臓がチクチク痛みますよ……緊張するな」
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