新たな問題

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 そう言う彼に、私はまた笑ってしまう。自分のために、自分以上に緊張してくれる人がいる。それはとても幸せなことで、こちらをリラックスさせてくれる。 「ありがとうございます。でももう、なるようにしかなりませんから!」 「ほんと、玲さんは見る目ありましたよね~舞香さんじゃなきゃ、こんなの耐えられませんよ。本当凄いです。では、もうそろそろ出ましょうか」  私は頷き、三人で家を出た。  玲と圭吾さんは仕事もあるというのに、二人で伊集院家まで送ってくれることになっている。その厚意に素直に甘え、私は車に乗り込んだ。普段通り圭吾さんが運転席、後ろに玲と並ぶ。  安全運転で発車した車内で、玲は落ち着かない様子で私に言う。 「いいか、どうしても辛かったら体調悪いことにして帰ってこい」 「はい」 「別に失敗してもいい、伊集院に変な嫁と思われても、そんな気にしなくていいから」 「はい」 「なんかあったら、俺の名前出せ。俺の指示でやったって言えばいいから」 「もー何度も聞いたよ!」
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