最悪の一日

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「そう……分かった」  答えた私に、向こうは不快な顔をした。コーヒーを一旦置くと、苛立ったように腕を組む。 「だからさ、そういうとこだって。なんで泣いたり反対したりしないの? これからはもっと頑張るから、ぐらい言えよ」  意味の分からない逆切れをされた。私の血管が切れそうになる。  涙なんか見せてたまるか、こんなくだらない男のために。  ぐっと前を見る。そして口角を上げて、和人に言った。 「自分がそんな縋りつかれるぐらいいい男だと思ってるの? 二股掛けるような男、喜んで相手の女に差し上げます。むしろもっと早く言ってほしかったぐらい。そしたら無駄な時間を過ごさないで済んだのに」  私の発言を聞いて、和人がゆっくり眉を顰めた。信じられない、私は昨日までこの人のことが好きだったのに。  別れはショックじゃないはずがない。泣いてしまいたい、でも私は彼が言うように気が強い自覚がある。泣き顔なんて、絶対に見せたくない。なお一層握りこぶしに力を入れた。
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