卵で産む

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 「ただいま」  玄関のドアを開けると、香辛料の香りが鼻を通っていった。わたしはもう一度大きく鼻で息を吸った。――懐かしさのように感じるカレーの匂い。  「おかえり」  夫の弘人はエプロン姿で現れた。目を細めて迎えてくれた。  わたしはふと何日か前に食べたコンビニのカレーが口に合わなかったと話したことを思い出した。わたしも目を細めて言った。  「カレー、久しぶりに手作りで、うれしい!」
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