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この三日間、本当に――
「……すみません、夜野さん。このような時間に突然呼び出してしまって――いえ、それよりもまず、以前の件について謝罪すべきですね。大変不躾な態度を取ってしまい、本当に申し訳ありません」
「……どうか、頭をお上げください藤川さん。私の方こそ、藤川さん自身のご事情に差し出がましく踏み込んでしまい、大変申し訳ありません」
それから、一ヶ月以上が経過して。
すっかり黒く染まった空の下、少し肌寒い静かな公園にてあの日以来――夜野さんの憂慮をこっぴどく無下にしてしまったあの日以来、久方ぶりにきちんと顔を合わせ謝意を伝える私。尤も、避けていたのは一方的に私の方で、彼の方は私を見る度に心配そうな表情を浮かべていた。……ほんと、良い人過ぎるよね。今だって、なんでか彼まで頭を下げちゃってるし。……でも、そんな彼だからこそ真っ先に――友人より先生より、誰より真っ先に頼ってしまったのだろうけど。
「――それで、如何なさいましたか藤川さん。謝罪とは別に、何か大事なご用件がおありなのですよね?」
「…………はい」
心配そうな表情のまま尋ねる夜野さんに対し、ぎこちなく首を縦に振る私。彼の言うように、今ここに来てもらったのは謝罪とは別に大事な用件があるから。言ってみれば、謝罪はそのついででしかなくて……全く、自分の身勝手さがつくづく嫌になる。……それでも、他人の事情なんて考えてられないくらい、私にとって重大な問題で――
「……私…………妊娠、したかも……」
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