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「……それで、その、言いにくいのですが……いつもの周期で来なくて……これってやっぱり……」
「……なるほど。その、大変お伝えしづらいとは思いますが……何日ほど過ぎておられますか?」
「……今日で四日、です……」
少し躊躇いつつ伝えた私の返答に、真剣な表情で思案してくれる夜野さん。それから、少し間があった後――
「……男性の立場からおいそれと申し上げて良いことかは判断しかねますが……そういった周期は体調不良やストレスなどにより変化することもあります。そして、四日であれば正常なずれの範囲内であり、妊娠の可能性が高いとまでは言い切れません」
「……そう、なんですね」
そう、私の目を真っ直ぐに見つめ伝えてくれる夜野さん。……そう、なんだ。私、てっきり……
「――ともあれ、まずは検査をしてみましょう。その結果が万が一にも陽性でしたら、その際は産婦人科にて正式な診察を受けましょう。ですが、仮に陽性反応が出たとしても必ずしも妊娠とは限りませんので、どうか自暴自棄になることなく落ち着いて……というのは流石に難しいですよね。ですが、心に留めておいて頂けると幸いです」
「……はい、ありがとうございます」
私の目を見つめたまま、真摯な表情で伝えてくれる夜野さん。なんとかして、私の不安や恐怖を少しでも和らげようとしてくれているのがひしひしと伝わる。……だけど、それでもやっぱり――
「……それから、もう一つ留めて頂きたいことがあります。もしも――」
「…………え?」
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