少しずつ、一歩ずつでも――
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少しずつ、一歩ずつでも――
――それから、およそ三年が経過して。 「こんばんは、
紗雪
(
さゆき
)
さん。お邪魔してもいいですか?」 「こんばんは、
百桃
(
もも
)
さん。もちろんです、どうぞ」 佳月が皓々と照らす空の下、小さな木造アパートの一部屋を訪れる私。応対してくれたのは、少し
翳
(
かげ
)
のある美形の男性、
夜野
(
やの
)
紗雪
(
さゆき
)
さん。当アパートの大家さんであり――
現在
(
いま
)
は私の恋人でもある。
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