音遠の過去

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その後のことはよく覚えていない。 一週間くらいだろうか。 毎日泣いて過ごした。 周りからもウザがられるようになった。 それが嫌で、必死に涙を出さないように努力した。 だけど、どうしても涙が溢れてきてしまう。 あの時、私がお留守番をしていたら… あの時、紫苑だけでも連れていっていれば… あの時… と、後悔して自分の弱さに打ちのめされていた。 そんな時__ ある男の子が救ってくれたんだ。 いつもみんなから避けられていた私に、 彼は、 声をかけてくれた。 男の子「ねぇ!なんでいつも泣いてるの!」 最初は答えたらまたみんなと同じように避けられるんだ。 って思ってた。 でも、彼は違った。 ずっと黙って泣いている私に、 手を差し伸べてくれた。 男の子「一緒に遊ぼう!」 音遠「…な…で…?」 男の子「?」 音遠「なんで優しくしてくれるの…?」 男の子「だって一人はさみしいもん!」 その一言で、 その笑顔で、 その暖かさで、 私は変わったんだ。
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