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「ありがとうございます。ではこれからダンジョン攻略に向かいます」
「どうぞお気をつけて、パン1つにつき一時間効果が続きますから、時間だけには気をつけてくださいね」
私は一口大に成形したパンを冒険者に手渡して微笑んだ。
「ララちゃん、リウマチに効くパンはどこかね?」
お爺さんに呼ばれたため、頭を下げて冒険者から離れた。彼らは私に一礼すると店から出ていった。
それからいそがしくパンを売るが、昨日の評判が広がったのか、お店には昨日よりさらに多くの人が押し寄せていた。
(これが連日続くのなら早めに人を雇った方がいいかも)
休む暇もなく動き回る私は商品が完売する頃にはヘトヘトになっていた。
閉店のプレートを出していると、1人の女の子が後ろに立っていた。
「どうかしましたか?何かご用?」
女の子は十六歳くらいだろうか、ロングヘアをおさげに結んで、二重のぱっちりした目に淡いベージュの髪が優しい雰囲気にとても似合っていた。
体は線が細く、儚げな美少女だった。
「実は・・・、私パン屋さんに憧れていて・・・たまたまこのお店のパンを食べたんです。そうしたら沈んでいた気持ちが一気に晴れて・・・すごく元気になれたんです。そんなすごいパンを焼く職人さんのお弟子にしていただきたくて、ここにきました」
少女はもじもじしながらも一生懸命に言葉を紡いでいた。
「ところであなたのお名前は?私はララよ」
そう聞くと女の子は慌てた様子で
「失礼しました!私ったら自分のことに夢中になって・・・サアラといいます」
「サアラね!ちょうど人を雇おうと思っていたから助かるわ。どこにすんでいるの?」
私はそう聞くとサアラはちょっと迷ったようだったが決心したように答える。
「実は私は孤児で、教会にすんでいるんですが、そろそろ独り立ちしなくてはいけなくて・・・」
それを聞いて私はよいかんがえが浮かんだ。
「なら住み込みではたらかない?そうしてもらえたら早朝の仕込みにも対応してもらえるから助かるんだけど」
私がそういうと彼女は目をキラキラさせて喜んだ。
「ありがとうございます!!是非!いつからここで働けますか?」
サアラは喜びに溢れた様子で言うと、私はそれに答える。
「じゃあ明日からお願いしようかしら。引っ越しはいつでも大丈夫よ」
するとサアラは興奮した様子で
「じゃあこれから荷物をもってきます!」
そういうと、走り去ってしまった。
1人取り残された私は、元気な仲間が増えたことに喜びをかんじた。
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