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サアラは宣言通りすぐに荷物をまとめてやってきた。
ただ、その荷物はボストンバック1つだけ。
まるで家出少女だ。
(もしかして…予感が当たってたら面倒ごとになるから確認した方がいいよね)
私はサアラに向かって問いかけた。
「ねえサアラ、貴方よく見ると身なりもいいし、もしかしたら何処かの貴族令嬢なんじゃないの?もしそうならうちで雇うことはできないよ。そんなことしたら、最悪私が誘拐罪で捕えられてしまうからね」
そこまで言うとサアラはしょんぼりと肩を落とした。
予感はどうやら当たっていたよう。
今にも泣き出しそうなサアラを広場のベンチに座らせると私は家出の訳を問いただした。
「どうして家出しようとしたの?」
「まだ会ったこともない公爵との結婚がきまったんです。しかも私より20歳も年上の…私,それが嫌でカバンに詰め込めるだけ貴重品を詰め込んで逃げてきたんです」
「なるほどね…それは気の毒だけど、私は役には立てないよ。それに会ったら案外いい人かもしれないよ?なんでもいい方に考えた方が人生うまくいくもんだよ」
私は自分がそうだから慰めではなく心からそう思いながらサアラに伝えた。
嫌なことがあってもいい方に考えたら案外うまくいくのは自分がそうだから…。
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