Part.2

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引き込まれるような瞳に、 私はようやく収穫を得たような気持ちになった。 正直にいえば、結構タイプだった。 私は画面の上部に戻ると、名前を確認する。 "すい" なかなかいい響きではあるその名前は、 なんとなく彼の雰囲気に合っている気がした。 私はすぐにその人にチャットを送る。 せっかく見つけたイケメンを逃す手はない。 ピコンっとなる通知音に、 これほど胸が躍ったのは久々だった。 彼の返信はプロフィールの文と同じく、 簡素で素っ気ないものだった。 こんばんは、から始まった会話。 そしてすぐに、通話の誘いが彼の方から来た。 10分おきぐらいに返ってくる彼の返信はわざとなのか、 いい具合に私を緊張させた。 "かけるねーー" その言葉に心臓が大きく揺れるような感覚を覚える。 冷静になろうと目を閉じて深呼吸をする。 程なくしてかかってきた通話に出ると、 素っ気ない返事からは想像もできないほど 小さく穏やかな声が聞こえてくる。 拍子抜けした私は、思わず黙り込んでしまった。 「ん?あの…」 電話の向こう側から不安そうな声が聞こえてくる。 私はその消え入りそうな声に我にかえると、 彼と同じように小さく挨拶をした。 なかなか喋り出さない電話の向こうの彼に、 私はありきたりな質問を思いつく限りしていく。 そうやって言葉を交わしていくうちに 彼の声も私の声も大きくなり、 次第に緊張の色もなくなっていった。 水稀。 それが彼の本当の名前だった。 "すい"というのは、水という漢字から取ったのだろう。 水稀は私と同い年の高校2年生で、私の住むところからずっと遠くの場所に住んでいる人だった。 送ってもらった写真を見る限り、 顔はかなり整っている方だと思う。 マッシュの黒髪から覗く二重の目は綺麗な形をしていて、小さな顔に収まったパーツがどれも良いバランスをとっている。 男特有のそのカッコ良さと、 その中に僅かに感じられる可愛さの両方を合わせ持つ、 まさに完璧なイケメンだった。 それは、私が出会った中で1番のイケメンと言っても過言ではないほどに。
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