Part.4

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Part.4

水稀の突然の告白は、 戸惑う私をさらに激しく動揺させた。 "なんで?" その理由を、私が知ってはいけない気がした。 知ったら、戻れなくなる気がした。 なんとなく気づいてしまっているその理由を、 確信に変えてはいけないと。 この事実を黙って受け入れるのが、 正しい選択なのだと。 でも、行き場のない感情がその邪魔をする。 聞いてはいけないのに。 自然と水稀に送ってしまったその単純すぎる疑問。 "まぁ色々あって" 水稀から返ってきたのは的を得ていない曖昧な答え。 こんな時だけ早い返信。 全てが気になって、全てが私を苦しめる材料になる。 きっとあの子のせいで、 水稀はこのアプリをやめようなんて思うんだと。 水稀の選択は、 きっとあの子の存在に左右されているんだと。 "色々"のその全てが、あの子に関わることだって。 考えれば考えるほど疑惑が確信になり、 そして真実になっていく。 私が今抱いているのは驚きでも悲しみでもない、 煮えたぎるような嫉妬心。 水稀に無条件に愛されるあの子への。 水稀をそこまで好きでもないのに、 それでも水稀に追いかけてもらえる、 可愛いあの子への醜い嫉妬心だった。 "そっか" 私にはそれしか返せない。 私と水稀の関係じゃ、 それ以上の言葉は嫌がられるだけ。 そう、いつも通りにすればいい。 嫌われることを恐れて、 何もせず逃げる自分でいればいい。 それが私にとっていつも最善の選択だった。 だけど、違う。 このまま終わるなんて嫌。 このまま黙って引き下がるなんてできるわけない。 せっかく見つけたの、 私の生きる光になってくれる人を。 私が好きだと思える、そんな理想の相手を。 でも、この気持ちが間違ってることも分かってる。 決して向けてはいけない好意。 この思いを抱くこと自体私は許されていない。 私の自分勝手な思いで、 優しい彼が傷つくことになるのはおかしい。 そう、理解はしてるの。 でもごめんなさい、私は最低な人間だから。 結局選ぶのは自分のための選択。 恐れより手放したくない思いが勝ってしまった。 自分の思いを伝えたくなるほど気になって仕方がなくなってしまった。 "あのね、私……" "水稀のこと結構気になってて" "だから、やめて欲しくない"
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