Part.4

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夜、何もせず無駄に時間を過ごした私は、今日1日中気掛かりだった水稀の返事を確認しようとしていた。 アプリを開く手が何度も止まり、震えが止まらない。 そうやってしばらく経った後、 私は意を決してアプリのアイコンをタップする。 タイムラインに流れている投稿を追っていくと、 水稀のアイコンを見つけた。 "あぁ〜止められるとやめづらいな" どう考えても私のことを言ってる投稿。 でも、別に水稀を困らせたかったわけじゃなかった。 ただ、少しだけ私を意識して欲しかっただけで。 繋がりを消したくなかっただけだったけど、 結果的にめんどくさいやつだと思われた。 微かに持っていた期待が崩れ落ちる音がする。 せめて私が見ないところで、 絶対に知られないように、 その言葉を漏らして欲しかった。 この投稿が私の目に留まることを知ってるくせに。 なぜか悔しさで目が熱くなる。 私はその悔しさの矛先を変えるべく 水稀が好きなあの女の子のプロフィールを開いた。 "大好き" "一生一緒にいようね" "たくくん" 水稀ではない他の男の人の名前。 この"たくくん"と呼ばれる人と恋人なのか、2人の仲良さげなたくさんのやり取りが投稿に残されている。 でも最新の投稿、今日のものはいつもと違って冷え切っていた。 喧嘩なのか、浮気でもされたのか、詳しいことは分からないけれど良くないことがあったのだろう。 "むり、たくくんいないならこのアプリやめる" もはや仕組んでいるのかと思うぐらい同じタイミング。 "たくくん"と呼ばれる人のプロフィールにも飛んでみる。 ピン留めされている投稿には、 どこにでもいそうな普通の男の人が映っていた。 少なくとも、 水稀の方が遥かにかっこいいことだけは言える。 それ以外は、 同じように2人のやり取りばかりが投稿されていた。 でも今日の投稿では、 あの女の子に1ミリを触れていない。 2人の間に何かあったことは、 火を見るより明らかだった。 「え……」 突然、無心で見ていた私を叩き起こすような衝撃がはしる。 "たくくん"の今日の投稿に、 水稀がリプライをしている。 "あの、ちょっと話したいことあるんですけど" なんで、なんで水稀がこの男にまで干渉してるの。
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