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Part.1
面白いことなんて何ひとつない。
淡々と流れていくだけの毎日を、
私はただ眺めているだけ。
私は私の人生をとうの昔に諦めたから。
学校で友達ができないことなんてどうだっていい。
孤独には、もう慣れた。
「優菜ー」
ただ、私を好きでいてくれるこの人は、
私を1人にはしてくれない。
私を呼ぶ少し高い声も、笑顔で駆け寄ってくる姿も、
そのすべてが私を不快にさせる。
佐久間優斗、私の彼氏だ。
でも、そんな思いを抱いているのになぜ、
私はこの人と付き合っているのか。
その答えは簡単。
ただ彼氏が欲しかったから。
そんな出来心と純粋な欲望からだった。
告白された時も、その予兆があった時も、
私は優斗を好きじゃなかった。
でも、好きになれると思っていた。
優斗は誰がみても疑いようのないくらい良い人で、
皆から人望もあったから。
浮気なんて絶対にしないだろうし、
私の悪口なんて口が裂けても言わないだろう。
でも、そんな単純な話じゃなかった。
人は、"こう思わなければ…"と思えば思うほど、
その思いから遠ざかってしまう。
思い描いていたような人と違えばなおさら、
そのギャップを埋めるのは難しい。
優斗は、私の理想とはかけ離れていた。
私のことをどんな時も思ってくれていて、
2人のことを私以上にずっと真剣に考えていた。
優しくて、本当に素敵ないい人だったけど。
でも、それ止まりだった。
顔も特に特徴のない普通の顔だし、なにより優斗と2人並んで話をするのはつまらなかった。
会話も波長も合わない、相性が良くない。
だから気を遣って、無理に笑って、
繰り返すうちに疎ましく思うようになってしまった。
この人とは合わないと、すぐに気がついた。
「一緒に帰りたいーー」
その言葉に私は、貼り付けた笑顔で頷く。
自分の思いに気づいても私は、
こうやって知らないふりをする。
自分に嘘をついて、優斗にも嘘をついて、
嫌悪感と罪悪感の狭間で今日も、平気なふりをする。
私は、自分のために偽ると決めた。
学校の中で平和に生きたいなら、
人気者の彼を振ってはいけない。
いや、単に振る勇気なんて
私は持ち合わせていないだけかもしれない。
私がこの気持ちを押し殺せば、
優斗も傷付かずに済むと。
いつかくる別れをそうして先延ばしにしたところで、
結果はきっと何も変わらないのに…。
こんな臆病で弱い私を、優斗は好きでいてくれる。
その思いが私とは、すれ違っているとも知らずに。
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