夢の国のカラス

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カメラよし! 盗聴器よし! 双眼鏡もよし! 授業が始まるまで後2時間! 僕は今この日のために見つけたおっておきな茂みの中に隠れている! 何度も実験と観察を重ね、校門から校舎までの1本道からは絶対にみつからないこの場所! 少し離れているため、声は聞こえないが 校門近くに置いた盗聴器と双眼鏡のお陰で、どんな萌も逃さない! 楽しみすぎて、昨夜は甲斐の妹ちゃんと深夜テンションで長電話してしまって、甲斐に怒られたけど… 2人とも興奮が収まらず、結局完徹でメールで語り尽くしてしまったよ! 寝不足なはずなのに、目が冴えて仕方がない! 何度もカメラをチェックしてしまうよ! でも、ちょっと早く来すぎてしまったかな…… 春の朝はちょっと寒い……クッシ! あー…上着を持って来れば良かった ブレザーだけじゃ心もとないよ…… でも、王道のため! 腐男子の名にかけて!耐えてやる! ハックシュン!…クッシュン! 二の腕あたりを摩っていると、なにかがふんわりと肩に落ちてきた。 ん? 毛布?なんで? 「それにくるまって、暖かくしておけ。春先はまだ寒い、風邪ひくぞ」 「か、会長……?!なん、でここに?」 「知り合いからここにこればいい事があるて言われて、来てみればお前が楽しそうにしてたが、寒そうだったからな」 僕が寒そうに見えてから、わざわざ毛布を届けに来たって事?ジーン… え、会長実は良い奴……? 素直にお礼を言ったら、ポンポンって頭撫でられた。 会長って頭撫でるの絶対好きだよね。 この前も死ぬほど、撫でてたもん。 マジ、禿げるかと思ったな…… ふっと頭を撫でていた手が下がり、髪を掬ったかと思えば、そのまま頬に添えられ親指で目尻を撫でられた。 「……眼鏡、今日は着けてないんだな。似合ってたが、無い方が良いな……外すのは俺の前だけにしろよ」 「……っ!な、何言って……!体育の時も外すし!」 うー!なんか居た堪れないよー! こう…背中がムズムズするって言うか…… 眼鏡は双眼鏡の時に邪魔かと思って外しただけであって、大して気にしてなかったけど……こうなるなら外すんじゃなかったよ! こら、そこ! 耳を弄るな!! いい加減手を離せ!
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