さよなら、灯台と初恋

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 *  僕は今、海浜にいる。ショベルカーに睨まれる灯台を、遠巻きに眺めている。  今日まで毎日通ったが、彼女には会えなかった。僕の恋は、灯台に始まり灯台に終わる運命だったらしい。  彼女の成仏を願うなら、僕だって無理にでも前に進むべきだ。だから今は一旦、傷心を灯台に委ねよう。傷を灯台に置くイメージを、何度も何度も繰り返した。  ショベルカーが大きく手を振り上げる。灯台の叫びを聞きながら、綺麗で幸せな記憶の中を巡った。    バイバイ、名前すら知らない君。短い恋だったけれど、いつまでだって覚えている自信があるよ。例え、君が忘れてもね。  百年後でも千年後でも、君を見つけたら僕は言ってしまうだろう。「また会えたね」と。
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