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後に聞いた話、彼女は苛めで前の高校を中退したらしい。幽霊と呼ばれ、半ばいないもの扱いされていたと聞かせてくれた。
自宅にいても息が詰まるからと、灯台に一日中居座っていたそうだ。
「……他のところでも会いたいって言ってくれたでしょ。でも、あの時は本当の自分を見られるのが怖くて……でも、私も会いたいって思って……だから頑張って受験してここにきたの」
そしたら堂々と会えると思ったから――穏やかな声で続けられ、海を眺めていた時の感覚を体感した。
視線を傾ければ、美しい横顔が秋風を浴びている。変わらず、見とれてしまうほどに綺麗だ。
「……やっぱり好きだなぁ……あっ」
――小さな空間が、熱々の真夏に巻き戻る。
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