僕だけの灯台

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 落ち込んだ時、思案に浸りたい時、必ず向かう場所がある。十二歳で今の町に越してきて、寂しさに侵されていた時偶然見つけた。  忘れ去られた海と浜を、見守り佇む灯台だ。中には小さめの長椅子と、海の青で埋まる窓がある。空間自体もこじんまりとしており、冷静を集めるには十分すぎる環境だった。虜になり、早四年は世話になっている。  最近は専ら、自らの不器用さを嘆いていた。運動も勉強も苦手で、コミュニケーション能力も恐らく平均。今日なんか、変な発言をしてしまい空気を白けさせてしまった。しかし、ここにこれば、波が後悔すら拐ってくれる。  こんな場所だ。独り占めする特別感は素直に悪くなかった。むしろ、誰かに侵入されたら寂しくなってしまうかもな。  なんて考えながら、静けさを満喫していたのに。しれっと椅子にいたのは見知らぬ少女だった。
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