僕だけの灯台

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 快活な人間だったなら、勇ましく会話を振れたのだろうか。緊張なんてせず、階段を駆け上がれたのだろうか。考えながら上りきると、当然のように少女はいた。ただ、学習したのか既に端に落ち着いている。  学校帰りのこの時間は、落ち行く夕日が世界を色付ける。今日もジャージの彼女は、変わらず釘付けだった。 「……や、やぁ、また会ったね!」  敢えてトーン少しと右手を上げ、爽やかな挨拶をかます。これは、約一週間考え抜いた末の行動だ。第一印象を塗り替えるため、笑ってもみる。教室より狭い空間で、互いに息をしやすくするための勇気だった。  まぁ、呆気なく撃沈したけど。  一瞥だけした彼女は、笑みも会釈もなくそっぽを向く。場に膨らむ沈黙は、前回よりも重かった。夕日が去れば帰宅時間となるが、短時間でも気まずいものは気まずい。  結局、引きずったままで夕日は去り、会釈だけ残して帰った。    ――行きにくい。しかし、純粋に彼女のことが気になる。無表情を貼りつけ、声すら分からない彼女が気になって仕方ない。  明確な理由は不明だが、敢えて言うならば未知への興味というやつかもしれない。
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