高島家の秘密?

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高島家の秘密?

殴られた頬を摩りつつ、華野崎蓮は“残されたゴミ”の片付けをする為に唖然とする山河と相澤夕梨花の方を嫌々ながら見る。 「おい、お前は何様のつもりで愛華を打ったんだ?」 いつもどこか無気力でその綺麗な目に決して誰も映さない男が、今は獲物を狩る猛獣のように荒々しく殺気立っていた。 「何で⋯何であんな子を相手にするの!?」 夕梨花は幼い頃から華野崎蓮にずっと憧れていた。だが、あの華野崎家の御曹司であるが故に近づく事さえ難しかった。しかし夕梨花の父親が華野崎家の弁護団の一人に抜擢された事で家族ぐるみの付き合いになり、唯一女子生徒の中で一緒にいることを許されたがいつまで経っても蓮は心を開いてくれない。そんな時に決して誰も入れようとしなかった理科準備室に自分以外の女子生徒がいた事に酷くショックを受けたのだった。 「お前には関係ない。」 華野崎の氷のように冷たい視線にそれ以上何も言えなくなる夕梨花。 「ああ、山河先生も愛華が先に手を出したって決めつけて暴言も吐いてましたね?それでも生徒指導ですか?」 「か⋯華野崎君⋯違うんだ!あの生徒とはちゃんと話し合って⋯」 「どちらが悪いかは親の権力で決まるんですよね?じゃあ、愛華は有罪で退学ですか?」 華野崎の有無を言わさない圧に冷や汗が止まらない山河。 「でも、今日をもって相澤弁護士にはうちの弁護団から外れてもらいますから夕梨花も微妙ですよ?」 さらっと言う華野崎に衝撃を受ける夕梨花。 「そ⋯そんな!!どうして!!お父さんは関係ないでしょう!?」 「関係あるんだよね~。お前の親の権力が無くなれば愛華は無罪になるから。恨むならここの教師達の判断基準を恨みなよ?」 夕梨花はふらふらと崩れ落ち、気が狂ったように笑い出す。 「いや⋯でも⋯弁護士には変わりない⋯ふふ⋯あの女には勝ってるわ⋯」 そんな姿を真顔で見ている華野崎。 「確かに愛華の父親はごく普通のサラリーマンで母親はパート勤務だよ?」 華野崎の言葉に勝ち誇った笑みを浮かべた夕梨花だが、すぐに地獄に突き落とされる事になる。 「ああ、言い忘れていたけど愛華の母方の祖父母は誰か知ってる?母親の旧姓は桜崎。桜崎深春。」 桜崎と聞いてみるみると顔色が青ざめていく夕梨花。 「桜崎⋯うそ⋯まさか桜崎誠一郎?」 「そう。日本弁護士連合会の会長様だよ~?」 それを聞いた山河の顔も青ざめていく。 「桜崎さんはそれはそれは家族を大事にする人だから、まぁ⋯わかるよね?多分もう愛華の報告がされてると思うよ~?」 「華野崎君!相澤夕梨花は厳重に処分する!!だからどうかこの事は報告しないでほしい!!この通りだ!!」 山河は華野崎の前に出て土下座をするが、その内容は反吐が出るものだった。 「とりあえずお前達にはここに居てほしくないから理事長室に移動ね」 そう言って二人に退室を促す華野崎の圧に、夕梨花と山河は抗えずに重い足取りで理事長室に向かう事になった。 理事長室に向かう途中、前方から校長の弓沢と教頭の駒がある人物と共に歩いてきた。二人は明らかにその人物に頭が上がらないのか機嫌を取りながら丁寧に案内している。 そう、その人物こそが桜崎誠一郎だった。 見た感じは若々しく五十代に見えるが、その鋭利な目には一切の隙がなく威圧感が半端ない。身を守るスーツは高級感があり高貴な雰囲気だ。華野崎ですらこの人の前では緊張する程だ。そんな華野崎に気付いた桜崎は弓沢と駒を気にする事なく立ち止まる。 「華野崎君か。」 「お久しぶりです、桜崎さん。相変わらずお元気そうで」 「君も“相変わらず”だね」 桜崎は無表情のまま値踏みする様な視線を華野崎に向ける。 「まだまだですかね?」 「話にならないね」 華野崎に対して辛辣に告げる桜崎。それを見ている山河や夕梨花は生きた心地がしない。 「今日はお孫さんが心配で?」 「⋯。宮ノ内の倅が余計な事をしたせいでこんなくだらない学校に転校したんだ。心配しない方がおかしいだろう?」 弓沢や駒がいる前で堂々と花森学園の酷評をする桜崎。 「はは、確かに。お孫さんに会われます?」 「いや、その元凶である宮ノ内理事長と話をしに来ただけだ。孫とはいつでも会えるからな。」 宮ノ内優斗を牽制に来たのだろうがもう遅いとはとても言えない華野崎。だが、ここで空気の読めない山河が行動に出る。 「桜崎さん!ここにいる生徒がお孫さんに酷い事を致しまして!“私”が止めに入ったので酷い怪我にはならなかったのですが⋯」 怪我と聞いて桜崎の顔が険しくなっていくのがわかり、ガタガタと震える夕梨花。 「あの子は怪我をしたのか?」 「はい!お孫さんを打って⋯「私は悪くない!!あの子が悪いのよ!!」 山河を遮り狂ったように大声で騒ぐ夕梨花。校長の弓沢や教頭の駒は状況が理解できないのか板挟みでただオロオロしているだけだ。 「君は?」 桜崎のその場を喰うような存在感にビクッとして思わず目を逸らしてしまう夕梨花。 「相澤夕梨花。相澤冬也弁護士の娘さんです」 華野崎が説明する。 「相澤弁護士の?⋯うちの孫が気に触るような事をしましたかな?」 「それは私が説明しますよ、桜崎さん」 そこへタイミング良く現れたのは宮ノ内優斗と⋯ 「えっ?爺ちゃん!?」 愛華だった。
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