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第三章 好
ツムギがいた。
遠くて、近くて、届かなかった。
「僕もそっちに行きたい!」
僕がそう言うと、ツムギは困ったような顔をして
「ペロ…。」
と言った。悲しそうで、顔をペロペロしてあげたかったけど、
歩いても、走っても、たくさんジャンプしても、
ツムギの元には辿り着かなかった。
「僕のせいでツムギと会えなくなっちゃったの?」
そう聞くと、
「ペロのせいじゃないよ。ペロは何も悪くない。」
と優しく笑ってくれた。
久しぶりに見たツムギの笑顔だった。
「ねえお願い…。ツムギと遊びたいよ…。
僕、ツムギにもふもふしてもらいたいよ…。」
僕はクウーンとないた。
「…ペロ…。私はね、ペロとは違う場所にいるの。
ずーっと、ずうーっと!遠いとこ!
…だからね、会いたくても、会えないんだ。
ありがとう。ペロ。
私のこと大好きって思っててくれたなら、
私はとっても嬉しい!」
ツムギの姿が、スーッと白くなって、薄くなっていって消えた。
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