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第五章 良
「ペロ…?」
真っ白な空間に、私の声が響く。
体が軽い。
私は走った。
どこまでも、どこまでも行っても、
出口は見えてこなかった。
白い光が私の体を包む。
『…ギ……ムギ……ツムギ…!』
「…!ペロ!?ペロ!どこ!?」
ペロが近くにいる感じがする。
ペロが、私を呼んでくれてる気がする。
さっきまでふわふわしていた白い光の塊が、ピタッと止まる。
まるで、私のことをジッと見つめているようだ。
『ツムギ?』
知らない声が私を呼ぶ。
知らないはずなのに、どこか懐かしくて、涙が出てくる。
これは、この感じは、
「ペロ?」
『やっぱりツムギだ!
僕、ずっと探してたんだよ!
ずーっとずーっと、たっくさん走ったのに、
同じ景色ばっかり。』
白い光が嬉しそうに跳ねた。
「私もだよ!ペロ!私たちどうしよう?」
少し、沈黙が続いた。
『…でもね、僕わかっちゃったんだ。
だから、ツムギはもう大丈夫だよ!』
「え?どういうこと?ペロ?
何がわかったの?」
白い光の塊が、私に飛びついた。
少しだけ、圧を感じた。
『僕と、ツムギは、ずっと一緒だから。
忘れないでね?ツムギ。』
「ペロ?」
『わかった?ずーっと、ずーっと!一緒だよ!』
白い光の塊が、私から離れて、
向こうへ駆けていった。
「ペロ!」
ペロの返事はなかった。
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