第八章 憶

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第八章 憶

ベッドに置いたスマホを手に取ると、 画面が明るくなった。 時計の下には、たくさんの通知が来ていて、 どれも私を心配し、元気づけるような内容だった。 ふと、写真フォルダを開く。 可愛いスイーツ、綺麗な景色、数少ない友達との写真、 圧倒的に多いペロの写真。 ペロの寝てる写真、ペロにピントが合ってない写真、 ペロがご飯を食べている写真、笑顔の写真… 最後の写真は、虹の下にいるペロの写真だった。 散歩してる時に、虹を見つけたんだ。 記憶がフラッシュバックする。 そう、あれは、ペロと散歩してる時だ。 その日は休日で、散歩のついでに公園に寄ろうか、と ペロの大好きなボールを持っていった。 強い風が吹いて、カバンからボールが落ちて、道路の方に転がった。 ペロはバカだから追いかけようとするかもしれない、 そう思った私は、誰よりも早くボールを追いかけた。 私に、その車は見えてなかった。 スピード違反をしてるのに、平然と走っている白い車が、 私の方めがけて突っ込んできた。 あ、これ死んだな、と瞬時に悟った。 目の端に、ペロが映る。こっちに走ってくる。 ダメだよ、来ないで、と言いたかった。 恐怖で声が出なかった。 足に、モフモフの体が当たる。 あぁ、この子を… 「この子をもう一度抱きしめたい…!」
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